お遍路や死装束で着る白い服の名前は?経帷子(きょうかたびら)の正しい知識と意味


四国巡礼のお遍路さんや、亡くなった方が旅立つ際に身にまとう真っ白な装束。日本人にとって馴染み深いこの白い服には、古来より深い意味が込められています。

「あの白い服の名前は何?」「なぜお遍路と葬儀で同じ格好をするの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

この記事では、白い装束の正式名称である**「経帷子(きょうかたびら)」**を中心に、その役割、構成、そして現代における正しい知識を詳しく解説します。


お遍路や死装束で着る白い服の正体とは?

お遍路(四国八十八ヶ所巡り)で着用される白い上着は、一般的に**「白衣(びゃくえ・はくじ)」と呼ばれます。そして、亡くなった方に着せる伝統的な衣装を「死装束(しにしょうぞく)」と呼び、その中心となるのが「経帷子(きょうかたびら)」**です。

なぜ「白」なのか?

古来、白は「清浄」「無垢」を象徴する色であり、神聖な儀式に用いられてきました。

  • 死装束としての白: この世の汚れを払い、清らかな姿で仏様の世界へ向かうため。

  • お遍路としての白: いつどこで倒れても、そのまま仏の世界へ旅立てるよう「死への覚悟」を持って修行に臨むため。

このように、お遍路の白衣と死装束は、どちらも「仏道に入るための正装」という共通のルーツを持っています。


経帷子(きょうかたびら)の構成と特徴

経帷子は、単なる白い着物ではありません。麻や木綿で作られた一重(裏地がない)の着物で、かつては経文(お経)を書き写したことからその名がつきました。

主なパーツと付属品

死装束として整える場合、経帷子以外にも以下の小物をセットで身につけるのが一般的です。

  • 編笠(あみがさ): 日差しや雨を避けるため、また素顔を隠して修行に専念するため。

  • 金剛杖(こんごうづえ): 弘法大師(空海)の化身とされ、「同行二人(どうぎょうににん)」の象徴。

  • 頭陀袋(ずだぶくろ): お布施や経本を入れる首から下げる袋。

  • 手甲(てっこう)・脚絆(きゃはん): 手首や足首を守るための装備。

  • 足袋(たび)・草履(ぞうり): 旅立ちの足元を整えます。

経帷子の書き込み

経帷子の背中には、御本尊の印(御朱印)を押したり、南無阿弥陀仏などの名号や真言を書いたりすることがあります。これには、故人が迷わず極楽浄土へ行けるようにという願いが込められています。


お遍路で使った白衣を「死装束」にする習慣

四国遍路を巡る方の中には、巡礼中に着用し、各寺院で御朱印をいただいた白衣を、自分が亡くなった際の死装束として棺に入れてもらうことを願う方が多くいます。

巡礼の証をあの世へ持っていく

八十八ヶ所の霊場を巡り、仏様との縁を結んだ証である「朱印入りの白衣」は、最も徳の高い衣装とみなされます。これを着て旅立つことは、最高の供養になると信じられているのです。

  • 注意点: 自分が着る用とは別に、「死装束専用」の白衣を持参して御朱印を集める巡礼者もいます。


現代の葬儀における死装束の多様化

伝統的な経帷子は今も大切にされていますが、現代の葬儀では少しずつ変化も見られます。

1. 宗派による違い

  • 浄土真宗: 「亡くなるとすぐに仏になる(往生成仏)」という教えから、厳しい旅の装束である経帷子や杖を用意しないことが一般的です。

  • 神道やキリスト教: 仏教的な「経帷子」ではなく、神道では白い小袖、キリスト教ではスーツやドレスなどが選ばれます。

2. 故人の好みを優先するケース

最近では、白い経帷子の上に故人が生前愛用していた洋服(スーツ、着物、お気に入りの服)を掛けたり、中に着せたりする形式も増えています。「その人らしさ」を大切にするお別れの形です。


トラブルを避けるために!経帷子の正しい扱い方

葬儀や法要の場面では、独特の作法(逆事:さかごと)が存在します。

  • 左前(ひだりまえ)で着せる: 生きている人は右前(右手を懐に入れられる向き)で着ますが、死装束は**「左前」**にします。これは、この世とあの世を区別するための風習です。

  • 結び目は「縦結び」: 紐を結ぶ際も、解けにくいように、または日常と逆にするために縦結びにします。

これらは葬儀社の方が専門的に行ってくれることが多いですが、知識として知っておくと安心です。


まとめ:経帷子は「新たな旅立ち」の正装

お遍路で着る白い服も、葬儀で用いる経帷子も、すべては**「清らかな心で仏の道へ歩む」**という日本人の深い精神性が反映されたものです。

「死装束」と聞くと少し怖いイメージを持つかもしれませんが、それは故人が次の世界で幸せになれるようにという、残された家族の最高の愛情表現でもあります。また、お遍路の白衣は、生きながらにして自分を見つめ直すための神聖な衣装です。

言葉の意味や背景を知ることで、伝統的な儀式や巡礼の景色が、より深く、温かいものに見えてくるはずです。

もし、ご家族の終活やご自身のお遍路を考えているのであれば、この「経帷子(白衣)」を準備することから始めてみてはいかがでしょうか。


経帷子(きょうかたびら)とは?意味と歴史、用途の違い



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