外れた差し歯を放置するとどうなる?数日で起こる歯並びの変化と虫歯悪化のリスク


「仕事が忙しくて歯医者に行く時間がない」

「痛みもないし、奥歯で見えないから後回しでいいかな」

外れてしまった差し歯をそのままにして、数週間、あるいは数ヶ月放置してはいませんか? 実は、差し歯が取れた状態を放置することは、お口の健康にとって非常に大きなリスクを伴います。

見た目の問題だけでなく、わずか数日のうちに歯の土台や歯並びには取り返しのつかない変化が始まってしまうからです。最悪の場合、もともとの差し歯が使えなくなるだけでなく、大切な歯そのものを抜かなければならない事態に陥ることもあります。

この記事では、差し歯を放置することで起こる深刻なトラブルと、放置が招く経済的・身体的な代償について詳しく解説します。


わずか数日で始まる「歯並び」の変化

私たちの歯は、上下左右の歯と押し合い、支え合うことで絶妙なバランスを保っています。差し歯がなくなることでそのスペースが空くと、周囲の歯はすぐさま移動を開始します。

1. 隣の歯が倒れ込んでくる(傾斜)

差し歯が抜けた穴を埋めようとして、両隣の歯が空いたスペースに向かって少しずつ傾いてきます。ほんの数ミリの変化であっても、精密に作られていた元の差し歯は入らなくなってしまいます。

2. 噛み合う相手の歯が伸びてくる(挺出)

歯には、上下でカチッと当たるまで伸び続ける習性があります。噛み合う相手がいなくなると、反対側の歯(上の差し歯が取れたなら下の歯)が、空いたスペースに向かってニョキニョキとせり出してきてしまいます。

3. 噛み合わせ全体の崩壊

一部の歯が動くことで、全体の噛み合わせのバランスが崩れます。これが原因で顎関節症を引き起こしたり、他の健康な歯に過度な負担がかかって折れてしまったりする二次被害を招くのです。


露出した「土台」を襲う虫歯悪化のリスク

差し歯が取れた後の歯の根っこ(土台)は、いわば「皮が剥けた状態」のように非常に無防備です。

急速に進行する二次虫歯

差し歯の土台となる歯は、多くの場合、神経を取り除いています。神経がない歯は痛みを感じないため、虫歯になっても気づくことができません。唾液や食べカスに直接さらされた土台は、驚くべきスピードで腐食が進みます。

歯の根っこが割れる「歯根破折」

差し歯という「蓋」がない状態の土台は、非常に強度が低くなっています。その状態で食事を続け、硬いものを噛んでしまうと、歯の根っこが真っ二つに割れてしまうことがあります。根が割れてしまうと、現代の歯科医療でも保存は難しく、抜歯を選択せざるを得なくなります。

歯ぐきの炎症と歯周病

露出した部分は汚れが溜まりやすく、歯ぐきが腫れたり出血したりしやすくなります。土台周辺の歯肉が炎症を起こすと、いざ差し歯を付け直そうとした時に型取りができず、治療期間がさらに延びてしまう原因になります。


放置した結果、待ち受ける代償

「後でいいや」という先延ばしは、結果として治療の難易度と費用を跳ね上げます。

  • 付け直しで済んだはずが「作り直し」に: 歯が動いてしまうと、古い差し歯を削って調整しても適合しません。高価な自費診療の差し歯だったとしても、一から作り直す必要が出てきます。

  • 保存できたはずが「抜歯」に: 土台が虫歯でボロボロになったり、根が割れたりすると、歯を抜くしかありません。

  • 「インプラント」や「入れ歯」へ: 抜歯した後は、インプラントやブリッジ、入れ歯といった大掛かりな治療が必要になり、治療費は数十万円単位、期間は半年以上に及ぶこともあります。


まとめ:外れたら「即日〜3日以内」の受診が理想

差し歯が取れた状態は、お口の中における「骨折」と同じくらいの緊急事態と考えてください。

痛みがないからといって放置せず、外れた差し歯を大切に保管して、できるだけ早く歯科医院へ連絡しましょう。数日以内の受診であれば、多くの場合、洗浄と消毒だけでそのまま付け直すことができます。

「あの時すぐに行っておけばよかった」と後悔しないために、自分自身の将来の歯を守るアクションを今すぐ起こしましょう。


差し歯が取れたときの対処法と再発防止のポイント