インビザライン(マウスピース矯正)は医療費控除の対象?「美容目的」と言われないための対策


近年、透明で目立ちにくいことから世代を問わず人気を集めている「インビザライン(マウスピース矯正)」。高額な治療費を少しでも抑えるために医療費控除を利用したいと考えるのは当然ですが、「マウスピース矯正は美容目的とみなされて、税務署に否認されるのではないか?」という不安の声も多く聞かれます。

結論から言えば、インビザラインも条件を満たせば医療費控除の対象になります。 しかし、申告の際には「見た目を整えるため」ではなく「健康維持のための治療である」ことを明確にする必要があります。この記事では、インビザラインで医療費控除を受けるための具体的な対策と、注意すべきポイントを詳しく解説します。


1. インビザラインが医療費控除の対象になる「条件」

税務署が医療費控除を認めるかどうかの判断基準は、「その治療が医学的に必要かどうか」にあります。

治療目的としての判断基準

単に「歯並びを綺麗にしたい」という理由だけでは美容目的と判断されるリスクがありますが、以下のような目的が含まれていれば、治療(医療費控除の対象)として認められます。

  • 咀嚼(そしゃく)障害の改善: 噛み合わせが悪く、食べ物をうまく噛み砕けない。

  • 発音障害の改善: 歯並びが原因で特定の音が発音しにくい。

  • 顎関節症の予防・改善: 不正咬合が原因で顎の痛みや不調がある。

つまり、インビザラインを「健康な生活を送るための機能回復」として行うのであれば、ワイヤー矯正と同様に控除の対象となるのです。


2. 「美容目的」と言われないための3つの具体的対策

確定申告の際、あるいは後日の税務調査で「これは美容目的では?」と指摘されないために準備しておくべき対策を紹介します。

① 歯科医師による「診断書」の発行

最も確実なのは、担当の歯科医師に「機能回復のための矯正治療である」ことを明記した診断書を作成してもらうことです。

  • 記載内容の例: 「咀嚼障害の改善のため、マウスピースを用いた矯正治療を要する」といった文言が含まれていると、税務署への強力な証明になります。

  • 注意点: 診断書の発行には数千円の手数料がかかる場合がありますが、それ以上の還付金が期待できる場合は取得しておくべきです。

② 「歯科医師の指導」であることを明確にする

医療費控除は、医師や歯科医師による診療・治療の対価であることが前提です。自分自身の判断で購入するホワイトニングなどは対象外ですが、歯科医院で精密検査を受け、計画的に進めるインビザラインは「歯科医師の管理下にある治療」です。領収書には必ず医院名が記載されていることを確認しましょう。

③ 通院記録と治療計画書の保管

治療を始める際に受けたカウンセリング資料や、シミュレーション結果、治療計画書なども大切に保管しておきましょう。どのような不具合があり、それをどう治すのかというプロセスが公的な書類として残っていることが、治療目的であることの裏付けになります。


3. インビザライン特有の注意点:デンタルローンと一括払い

インビザラインは支払い方法によって、医療費控除を申請する「年」が変わります。

デンタルローンを利用する場合

ローン会社が歯科医院に代金を一括で立替払いした「契約成立日」の属する年が、控除の対象年になります。

  • 例: 2024年に契約し、返済が2025年以降に続く場合でも、2024年分の確定申告で「全額(手数料を除く)」を申請します。

  • 注意: ローンの金利や手数料は医療費控除の対象外ですので、元本のみを計算に入れましょう。

クレジットカード決済の場合

カードを利用した日(決済日)が基準となります。引き落としが翌年になっても、決済が完了した年の確定申告で申請可能です。


4. 医療費控除の対象に「含めてよいもの」と「ダメなもの」

インビザライン矯正に関連する費用のうち、どれが控除の対象になるのか整理しておきましょう。

カテゴリ対象になるもの(〇)対象にならないもの(×)
検査・診断費精密検査代、診断料ホワイトニング費用
治療費マウスピース代、調整料クリーニングのみの費用
通院費電車・バスの交通費自家用車のガソリン代・駐車場代
その他処方された痛み止めなど歯ブラシやフロスなどのケア用品

特に通院費は忘れがちですが、往復の運賃をメモしておくだけで合計額が大きくなり、還付額に影響します。


5. まとめ:賢く申告して矯正の負担を軽減しよう

インビザラインは高額な投資ですが、医療費控除を正しく活用することで、実質的なコストを1割〜2割程度抑えることも可能です。

「美容目的」という言葉に不安を感じる必要はありません。多くの矯正治療には機能改善の側面が含まれています。まずは担当の歯科医師に「確定申告をしたいので、医療費控除の対象になるか」を相談してみることが第一歩です。

領収書の保管と診断書の準備を整え、自信を持って確定申告に臨みましょう。


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