祖父が亡くなった時にまず何をする?葬儀・手続き・相続の完全ガイドと心の整え方
大好きだったおじいちゃんが亡くなったという知らせ。突然のことに、頭が真っ白になってしまうのは当然のことです。悲しみに暮れる間もなく、親族として何をすべきか、どのような順位で手続きを進めればいいのか、戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
特に、ご両親が動揺している場合、孫であるあなたが冷静にサポートを求められる場面も少なくありません。
この記事では、祖父が亡くなった直後の初動から、葬儀の準備、さらにはその後に続く複雑な行政手続きや相続の相談まで、分かりやすく丁寧に解説します。落ち着いて一つずつ進めていけるよう、この記事をチェックリストとして活用してください。
1. 逝去直後から数時間以内に行うべきこと
まずは、落ち着いて深呼吸をしましょう。病院で亡くなった場合と、自宅で亡くなった場合では、最初のアクションが異なります。
医師による死亡診断書の受け取り
まずは「死亡診断書」を医師から受け取ります。これは、後の死亡届の提出や火葬許可証の発行に不可欠な書類です。コピーを10部ほど取っておくことを強くおすすめします。生命保険の請求や銀行口座の手続きなど、後々多くの場面で必要になるからです。
搬送先(安置場所)の決定
病院では長時間遺体を安置することができないため、速やかに搬送先を決めなければなりません。
自宅に連れて帰るのか
葬儀社の専用安置所に預けるのか
この判断を迫られます。もし決まった葬儀社がない場合は、まずは搬送だけを専門業者や近隣の葬儀社に依頼することも可能です。
2. 葬儀の準備とプランの選び方
葬儀は、故人を送り出す大切な儀式であると同時に、多額の費用が発生する場面でもあります。最近では、家族の形に合わせて多様なスタイルが選べるようになっています。
葬儀形式の選択
一般葬: 知人や近所の方も参列する形式。
家族葬: 親族や親しい友人のみで執り行う、現在最も選ばれている形式。
一日葬: お通夜を行わず、告別式と火葬を1日で行うスタイル。
直葬(火葬式): 儀式を省き、火葬のみを行う最もシンプルな形式。
費用を抑えつつ納得のいく見送りを
葬儀費用には、斎場使用料、祭壇、返礼品、お布施、飲食費などが含まれます。見積もりを取る際は、セット料金の中に「何が含まれていないか」を確認することが重要です。ドライアイス代や搬送距離による追加料金などは、見落としがちなポイントです。
3. 遺品整理とデジタル遺産の落とし穴
葬儀が終わると、次に待っているのが遺品整理です。祖父の世代の場合、紙の書類だけでなく、意外と盲点になるのが「デジタル遺品」です。
遺品整理のコツ
思い出の品を整理するのは精神的な負担が大きいものです。まずは「明らかな不用品」と「形見」を分け、貴重品(通帳、権利書、印鑑、貴金属)を最優先で確保しましょう。
スマホやパソコンの解約
祖父がスマートフォンを使用していた場合、サブスクリプションサービス(月額課金)が継続している可能性があります。また、ネット証券やネット銀行を利用していた場合、早めにログイン情報の確認やカスタマイズされた解約手続きが必要です。
4. 複雑な行政手続きと期限について
身内を亡くした後は、役所への届け出が山積みです。これらには「期限」があるため注意が必要です。
死亡届の提出: 死亡を知った日から7日以内(通常は葬儀社が代行してくれます)。
年金受給停止: 厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内。
介護保険証の返納: 14日以内。
世帯主変更届: 14日以内。
期限を過ぎると過料が発生したり、年金を多く受け取りすぎて後で返還が必要になったりすることもあるため、早めの対応が肝心です。
5. 相続・不動産・税金:プロに相談すべきポイント
ここからが、最も慎重に進めるべき「お金と資産」の話です。祖父が持っていた土地、建物、預貯金などの遺産分割は、親族間でのトラブルに発展しやすい繊細な問題です。
相続放棄と限定承認
もし祖父に借金(負債)があった場合、相続を知った時から3ヶ月以内に「相続放棄」の手続きを家庭裁判所で行う必要があります。この期間を過ぎると、自動的にすべての借金を背負うことになるため、非常に重要な期限です。
相続税の申告
相続税の申告・納税は、亡くなった翌日から10ヶ月以内です。基礎控除額を超える資産がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。特に不動産(実家や土地)の評価額算出は複雑で、素人が行うと損をしてしまうケースも少なくありません。
遺産分割協議書の作成
誰がどの財産を引き継ぐのかを明確にした「遺産分割協議書」を作成します。これは、銀行口座の解約や不動産の名義変更(相続登記)に必須の書類です。
6. グリーフケア:悲しみと向き合う時間
手続きに追われていると、自分の心のケアを後回しにしてしまいがちです。「もっと何かしてあげられたのではないか」という後悔(グリーフ)を感じるのは、それだけおじいちゃんを大切に思っていた証拠です。
無理に元気を出す必要はありません。同じ悲しみを共有できる家族と話をしたり、専門のカウンセリングを利用したりすることも、これからの生活を送る上で大切な一歩となります。
まとめ:一つずつ、確実に進めましょう
祖父が亡くなったという現実に立ち向かうのは大変なエネルギーを要します。葬儀、役所の手続き、そして相続の問題。これらをすべて一度にこなそうと思わず、まずは期限のあるものから優先順位をつけて取り組んでいきましょう。
もし、自分たちだけでは判断が難しいと感じる場合は、専門家の力を借りることも恥ずかしいことではありません。弁護士、司法書士、税理士、そして葬儀のアドバイザーなどは、こうした場面のプロフェッショナルです。
おじいちゃんが安心して旅立てるよう、そして残された家族が穏やかに過ごせるよう、一歩ずつ進めていってくださいね。