「出会う」の類語を解説!「会」「合」「逢」や「邂逅」
「出会う」とは類語がとても多い言葉のひとつです。
「出会う」の類語をうまく使い分けることができると、表現の幅がぐっと広がります。
辞書や辞典で「出会う」と調べれば類語は簡単にでてきますが、細かい意味合いの違いは教えてくれません。
そこで今回は、例文も交えながら、出会うの類語や、会うの言い換えについて詳しく解説していきたいと思います。
・出会うと出合うの使い分けの解説
・出会うと出逢うの表現方法の違いとは?
・出会うと出逢うの意味
・運命的な場面に使う「邂逅(かいこう)」
・「相見」と「接見」の意味
出会うと出合うの使い分けの解説
出会いと出合いの使い分けで大事なポイントは、相手が「人」か「物事」か、という点です。
・相手が人の時は「出会う」
・相手が物事の時は「出合う」
ここで「会う」と「合う」を使った例文を紹介します。
[会う]
・運命の相手と巡り会う
・友人と約束して会う
・恋人に早く会いたい
[合う]
・一冊の本と巡り合う
・友人とは気が合う
・恋人とは趣味が合う
違いがなんとなく分かりましたか?
人と出会うこと。
物事と出合う。
このように覚えておけば間違いないでしょう。
~「知り合う」と「落合う」~
「合う」には、一致する、一緒になる、団結する、などの意味もあります。
「知り合う」や「落合う」と言う言葉は相手が人の為、「会う」を使うべきなのでは?
と、疑問に思う人もいるかもしれません。
・「知り合う」は、人と人がお互いに相手を認識し合うこと。
・「落合う」は、人と人が同じ場所に集合すること。
という意味になります。
意味をよく考えると「会う」ではなく、「合う」の方が正しいことが分かります。
出会うと出逢うの表現方法の違いとは?
出会うとは、出逢うという言葉は、
男女を連想させるときに使います。
出会うと出逢うの意味に基本的な違いはありません。表現方法が違うと考えてください。
男女の関係がある、または始まりそうな時には「逢う」を使ってみましょう。
例文を紹介します。
・夕方列車を待っているとき、彼は彼女に出会った。
・夕方列車を待っているとき、彼は彼女に出逢った。
ふたつを比べると、下の方が、男女が運命的に出あった場面に感じませんか?
これが表現方法の違いです。
運命的な場面に使う「邂逅(かいこう)」の意味
「邂逅」とは、思いがけなくめぐりあうことを言います。
「出逢う」が「出会う」より運命的な出あい、というのは先ほど説明しましたが、
「邂逅」もまた、運命的な場面に使用し、「出会う」「出逢う」の類語になります。
◎「邂逅」は相手方が「芸術」や「思想」にも使うことができる
「邂逅」は「芸術」「思想」を相手方として使えるのが大きなポイントです。
「出逢う」より相手方の対象はひろくなります。
◎「邂逅」はいい意味でも悪い意味でも使うことができる
「邂逅」は悪い意味でも使うことができます。
例えば、「出逢う」だと、あまり悪い出あいのようには感じません。
例文を紹介します。
・昔の恋人と出逢った
この文では、昔の恋人と運命的な再会をした良い場面に感じ、
「きっと昔の恋人は良い恋人だったのだろう」と連想できます。
・昔の恋人と邂逅した。
この文では、昔の恋人との運命的な再会が良いのか、悪いのか、どちらともとれるので、安易に「昔の恋人はいい人だったのだろう」とは連想できません。
「邂逅」は、分かりにくい表現のようにも感じますが、だからこそ奥の深い言葉でもあります。
小説などで「邂逅」という言葉がでてきたら、その場面が良いのか悪いのか、読み手は想像を膨らますことができるのです。
物語では、作者が読み手にすべてを語ることはほとんどありません。
すべて分かるように表現してしまうと、読み手の「想像する、考える」という楽しみを奪うことになるからです。
私は、「邂逅」は「出会う」の類語の中でも、文学的な表現方法だと思います。
◎偶然出会うの類語
偶然出会うの類語には、「会遇」「遭遇(そうぐう)」「遭逢(そうほう)」
「逢着」などの言葉があります。
「逢着」は「逢」という文字をつかっていますが、暗い場面で使うことが多いです。
例えば、
・難しい問題に逢着する
など、困難に出あうときに「逢着」という表現を使います。
「相見」と「接見」の意味
「相見(しょうけん)」と「接見(せっけん)」も「会う」という意味合いを持ちますが、少し特殊な言葉です。
◎相見(しょうけん)
会うこと、対面すること
◎接見(せっけん)
身分の高い人が会見すること
被疑者と面会すること
2語とも、「会う」という意味よりも「対面する」「面接する」という意味が強くなります。
また、「接見」のほうが使う場面が限られるでしょう。
「出会う」の類語、同義語、類義語は非常に多く、その分さまざまな表現方法を使い分けができます。意義素はあまり変わらないので使い分けも難しいですが、楽しみなら使い分けを考えてみてください。
日本語の魅力は、繊細な表現方法の違いにあります。
これは、英語などの外国語では味わうことのできない貴重な文化のひとつです。
物語を読む時、「作者はなぜ、数ある表現方法の中からこの言葉を選んだのだろう」と考えるだけで、物語を読む楽しさは倍増するはずです。
物語の書き手は、数ある表現方法の中からの言葉選びを楽しんでください。
出会いの場面を表現する時、今回の記事を参考にしていただけると幸いです。
ウェブ上には今回紹介しきれなかった関連語もたくさん掲載されているので、参考にするとよいでしょう。
以上、「出会う」の類語について解説をしました。