お通夜で何するのか、ご飯、服装、焼香、数珠、家族葬、マナー、告別式との違いなど
お通夜とは家族、友人等の故人と近い関係にあった人が、故人と最期の時を過ごすもので、元々は一晩中灯明を灯し線香を絶やさないようにして、故人を見守り、語りながら夜通し過ごすものです。
今回はお通夜に行くことになった時に何するのか。
参列者として知っておかなければならないお通夜のマナーや、お通夜の意味、作法等を解説していきます。
お通夜に行くときの服装
① 男性の服装
お通夜で喪服が無ければ、黒のスーツに白のワイシャツ、黒のネクタイを着用しましょう。
どれも柄や光沢が入ったものは避けましょう。
靴も凝ったデザインのものや金具、柄が入ったものは避け、落ち着いたシンプルなものにしましょう。
靴下は黒のものを着用しましょう。
②女性の服装
喪服の着用が望ましいですが、なければ黒のワンピース、または黒のスーツに白または黒のインナーを着用しましょう。
ストッキングは黒の20~30デニールのもの、靴は光沢のない黒のヒールがついたものを着用しましょう。
ヒールは3cm~5cmのものが最適です。
アクセサリーは、結婚指輪・婚約指輪以外は原則着用しない方が良いですが、真珠は涙の象徴とされているものなので、一連のネックレスがあれば着用して問題ありません。
ただし二連になっているものは「悲しみが重なる」とされるためNGです。
また、チェーン部分の光沢が強いものや長さが40㎝を超えるもの、真珠の粒が7~8cmを超えるものは派手に見えるためNGです。
結婚指輪、婚約指輪であっても大きな宝石が付いたものや色の目立つものは避けましょう。
派手なマニキュアやジェルネイル等は落としていくことが望ましいですが、落とすことが難しい場合は黒のレースの手袋を着用しましょう。
③男女共通の注意点
皮製品のバッグや小物、装飾品は殺生を連想させるものなので避けましょう。
同様にスウェード素材、毛皮のものも避けましょう。
全体的に黒で統一し、派手な装飾や光沢がないものにし、ハンカチは白の無地か、なければ柄の少ないものにしましょう。
腕時計、眼鏡もデザインが派手なものは避け、落ち着いたシンプルなデザインのものにしましょう。
ブレスレットやピアス、イヤリング等のアクセサリーは外しておきましょう。
④学生の場合
制服を着用しましょう。
制服が無い場合は全体的に黒で統一した服装にしましょう。
お通夜に持っていくもの、お数珠以外に何がいる?
①香典
・香典の用意
お通夜で香典に新札を使用することは、事前に用意していた印象を与えて失礼になるため避けましょう。
香典袋は黒の水引がついたものを選び、表書きは「御霊前」とします。
ただし故人の家の宗派が仏教の浄土真宗の場合は「御仏前」とします。
これは浄土真宗の、「人は無くなってすぐに仏様になる」という考えのためです。
新札しかない場合は折り目をつけておきましょう。
お通夜で香典に包む金額は個人との関係によって異なります。
知人や友人は5,000~10,000円、会社の同僚や部下は3,000~5,000円、隣人、ご近所さんは3,000~5,000円が相場です。
また、お通夜では割り切れる金額や枚数は避けた方が良いので、お札の合計が奇数になるようにしましょう。
例えば20,000円を包む際であれば、一万円札1枚と5,000円札2枚を入れましょう。
香典にお札を入れる向きも決まりがあります。
袋の表から見た際にお札が裏向きになるように入れます。
お札の肖像が描かれている面が表側です。
そして、肖像の部分が封筒の下側に行くように入れます。
最近ではご祝儀袋と同様に、香典用の不祝儀袋も販売されているのでそれを購入すればお札の入れ方や渡し方のマナー等も書かれていて悩むことも少ないのでおすすめです。
・香典の渡し方
受付で袱紗から香典袋を出して渡します。
袱紗を畳み、その上に表書きが相手に向くように置き、お悔やみの言葉を添えて渡します。
受付が無い場合には焼香の際に遺族の方に直接渡します。
また、お通夜と葬式のどっちにも参列する際は、香典を渡すのはお通夜のみです。
葬式のみに参列する場合は、葬式に香典を用意し持参します。
・お悔やみの言葉の一例
「誠に残念です」
「心よりお悔やみ申し上げます」
「ご霊前にお供えください」
「この度はご愁傷様です」
等、故人の死を悲しむ言葉、遺族をいたわる言葉をかけましょう。
また、亡くなった方とは知り合いでも、家族との面識がない場合もあります。
そのような場合は簡単に個人と自身の関係を説明しましょう。
受付がある場合はその際に説明しましょう。
「○○会社で○○先輩にお世話になっていた○○です」
「演劇のサークルで一緒にお芝居をさせて頂いていた○○です」
という感じの簡単な自己紹介が良いです。
あまり自己紹介が長くなると相手の迷惑になりますので、故人との思い出を話す際も短く簡単にしましょう。
忌み言葉にも注意が必要です。
「死ぬ」「生きていた」等、直接的な言葉は厳禁です。
また、「次々」や「度々」等の繰り返しを表す言葉、「追う」「再び」「続く」という言葉も避けましょう。
②袱紗
袱紗はご祝儀袋や香典袋を包む布のことで色々な色のものがあります。
葬儀の際は紫、紺、暗めの緑色のものを使用しましょう。
最近では100円ショップでも販売しています。
受付で係の人に渡すまで、または遺族に直接渡すまで香典袋は袱紗に包んでおきます。
③数珠
数珠は家族で参列する際も一人一つ持っておくのがマナーですが、どうしても用意が難しい場合は、焼香の際だけ家族や同行者から借りても良いです。
正式な数珠は玉が煩悩の数と同じ108個のものですが、玉の数が少ない略式のものでも問題はありません。
数珠は煩悩を避け、悪いものから持ち主を守るためのお守りです。
葬儀以外でも、魔よけ、厄よけとして持ち歩いている人もいます。
④ハンカチ
涙を拭くため、ハンカチを持参するのがマナーです。
白の無地が望ましいですが、用意できない場合は薄い色の無地のものを持っていきましょう。
タオル地や飾りがついたものは避けましょう。
⑤エプロン
通夜に泊りで参列する際は、炊事等の手伝いを行い遺族の負担を軽く出来るよう用意しておくことが望ましいです。
髪が長い方は髪留め等も用意しておきましょう。
⑥宿泊道具
通夜は夜通しで行われるため、途中退席する場合でなければ着替えや簡単なメイク道具、男性は髭剃り等を用意しておき、清潔感を保てるようにしておきましょう。
お通夜の流れ、何するのか確認しておきましょう
お通夜やお葬式はそうそう経験することではないので、何するか分からないという人も多いですね。
お通夜会場でなにするのかを前もって確認しておきましょう。
・受付
お通夜の会場(故人の自宅)に着いたらまず受付に向かいましょう。
受付で袱紗から香典袋を出し受付の人に渡し、芳名帳に記入します。
その際に一言お悔やみの言葉をかけましょう。
芳名帳には名前、住所、連絡先、故人との関係を記入するようになっています。
芳名帳に記入した後に、返礼品の引換券を受け取ります。
特に指定が無ければ空いている席に座り、式が始まるのを待ちます。
たいていの場合世話係の人が案内してくれます。
祭壇に向かって右側が親族や故人と関係が近い人、左側が一般参列者の席です。
左側の最前列は世話係の方が座ります。
携帯電話等の音は切っておきましょう。
・読経
お通夜式の会場時間になると僧侶による読経が始まります。
宗派によって異なりますが、だいたい30~40分程です。
読経の後、僧侶による法話があり、その後も種から順番に焼香となります。
弔問客が多い場合は読経中に焼香が始まる場合もあります。
・焼香
読経の後に、僧侶、喪主から順番に、家族の近い人から焼香を行います。
焼香の作法は宗教や宗派によって異なりますので一般的な作法を紹介します。
僧侶や世話役の方から焼香についての説明がある場合もあるので、失礼のないようによく聞いておきましょう。
数珠は左手首に持っておきます。
①自分の番になったら、家族、僧侶に一礼し焼香台に向かいます。
②左手に数珠を持ち、右手で抹香を少量つまみ、額におしいただきます。
③抹香を香炉の炭の上にのせます。
④合掌します。
⑤一歩下がり遺族に一礼し自分の席に戻ります。
宗派によって作法は異なりますが、そこまで形式を気にしすぎず、故人への気持ちを込めて焼香をすることが大事です。
・通夜振る舞い
通夜振る舞いとは、遺族から参列者への感謝のお礼の気持ちを表すものであり、故人を偲びながら、遺族や参列者で食事をすることです。
お通夜式が終わった後に、別の会場で行われます。
会食場または清め所と呼ばれます。
故人を偲びながらご飯を食べることで、供養するという意味もあります。
少しの時間でも参加し、供養の気持ちを込めてご飯を頂きましょう。
アルコールが出る場合が多いですが、節度を持って飲みすぎたり騒いだりすることは控えましょう。
・式終了後
帰る際には受付で渡された返礼の引換券を渡し、返礼品を受け取ります。
遺族への挨拶は出来れば行いますが、式場内での対応等で忙しいことが多いので、その際には世話係や受付の方への挨拶だけにしておきましょう。
後日行われる葬儀や告別式の案内を改めて受けることもあるので、予定を確認しておきましょう。
返礼品には清め塩をついているので自宅の敷居をまたぐ前に体に塩を振ります。
邪気を自宅に持ち込まないという日本古来の習わしです。
家族葬への参列の流れ・注意点
・家族葬へは参列すべきか
訃報が届いた際に、家族葬であることが書かれていたりその旨の連絡があったりした際には、参列しないのが無難です。
また、お通夜や葬儀の日時や場所の記載や連絡がない場合も参列しない方が良いです。
お通夜に遺族があなたの参列を望まれる場合はその旨が書かれている場合が多いです。
家族葬と記載されていても、葬儀の日時、場所の連絡があり、特に参列を遠慮するような記載がなければ参列しても問題ありません。
親族に参列が可能か聞くことが出来るのであれば、念のため聞いておいた方が確実です。
・家族葬での香典
香典を受け取ると、香典返し等の準備が必要です。
そのような準備も避けるために親族だけで家族葬にしている場合もあるので、家族葬では香典を送らないことが多いです。
とは言え、念のためお通夜の準備しておき、断られたときには引き下げられるように準備しておいた方が安心です。
家族葬も、式でやることは通常のお通夜と変わりませんが、小規模で行うために受付が無く親族の方に直接挨拶をして、式場に入る場合が多いです。
お通夜と葬式の違い・告別式の違い
お通夜と葬式の違い、また告別式との違いを説明します。
お通夜、葬式、告別式と取り行い、火葬がおわるまでの一連の流れを葬儀と呼びます。
告別式は葬儀に含まないという考え方もありますが、現在は告別式までを葬儀と考えることが一般的なようです。
葬儀は正式には葬送儀礼と言います。
お通夜
お通夜はその方が亡くなった当日の夜18時から19時頃から執り行われることが一般的です。
また亡くなった当日に仮通夜、翌日に本通夜と分けて行われることもあります。
親族、親しい知人、職場の関係者など、故人と近い関係にあった人が参列します。
葬式
葬式は個人と弔うための儀式です。
宗教の違いにより様式は異なりますが、故人との別れを惜しみ、心の整理を付けるための儀式という点では同じです。
お通夜の翌日の日中に行われることが一般的で、遺族による弔辞、弔電の拝読、僧侶の読経、焼香が行われます。
お通夜で香典を渡した人は葬式と告別式では渡す必要はありません。
受付で記名のみ行います。
服装のマナーは通夜と同じです。
告別式
現在では葬式の後に続けて告別式を行うことが多いですが、日程を別に定めて行われることもあります。
葬式と分けて告別式が行われる場合は、僧侶による読経、弔辞、弔電奉読、焼香、花入れ、出棺が行われます。
出棺の前に花入れをします。
これが故人との最後の別れとなります。
古くから副葬品の習慣がありますが、現在は火葬で弔うため燃えないものは入れてはいけません。
別れ花は親族の近い関係者から入れていきます。
葬式と同じく、お通夜で香典を渡している場合は、告別式での香典は不要です。
式の最後に喪主の挨拶があり、その後棺は霊柩車で出棺されます。
火葬場へは親族のみ同行するのが一般的です。
親族から同行の誘いがあった際には同行しても良いですが、自分から同行したいと言うのはやめましょう。
火葬場で火葬が行われ、拾骨、収骨が行われます。
お通夜でやること
お通夜での服装、持ち物、当日の流れを紹介してきました。
お通夜、葬式、告別式ともに故人との別れを偲ぶ式ですので、遺族や他の参列者の方に失礼のないよう、マナーをしっかりと頭に入れて参列しましょう。
また、遺族を始め参列している方は故人との別れに心を痛めています。
いたわりと気遣いの気持ちを持って参列することを心がけましょう。